
産後にいままで感じたことのないような陰部の臭いがして、どうしたらいいの?と悩んでるママさんも多いと思います。特に初産の後は、初めてのことだらけで心配事が尽きないので、陰部の臭いもこのままだったら…と深刻になってしまいがちです。
産後に限らず妊娠や出産は、お母さんの体にも大きな変化が現れます。人間一人をおなかの中で育てているわけなので当然なのですが、顕著なのがホルモンバランスの変化です。
女性はホルモンバランスの変化によって、体調や感情なども左右されてしまいます。生理時にイライラしたり、生理痛などを起こすのもホルモンバランスの変化が大きく関わっています。実は陰部の臭いにもホルモンバランスの変化が影響していることがあります。
産後に陰部の臭いがきつくなるのは、ホルモンバランスによる膣内環境の変化や悪露(おろ)が原因としてあげられます。どちらも時間の経過とともに改善していきますが、産後ストレスなどで改善が長引いたりすることも考えられるので、適切な臭いケアだけはしておきましょう。
悪露の臭いは約1カ月

産後には子宮が元の状態に戻ろうと子宮復古が始まります。胎盤や卵膜がはがれて出血しているところを、子宮を収縮することで止血していく作業です。
子宮内に残った胎盤や卵膜、出血や分泌物などが悪露で、子宮復古の際に体外に排出されていくのですが、血液が混じった体内の分泌物なので経血のように血生臭さが鼻につきます。
悪露は子宮が妊娠前の状態に戻るまで続きますが、子宮内の止血は2週間前後で終わるので、悪露もだんだん赤みが薄れて臭いも弱まっていきます。ただ、赤い悪露が続くようであれば、子宮復古不全の可能性も考えられるので、医師に相談するようにしましょう。
おおむね1カ月もすると、子宮も妊娠前の状態まで回復するので悪露もほとんどなくなります。この頃になれば、デリケートゾーンの臭いも落ち着いてくるはずです。
しかし、1か月を過ぎても悪露が多かったりだらだら続くようであれば、何らかのトラブルも考えられるので、病院を受診してください。
悪露の排出は正常なことですし、出産後の子宮の回復に大切なことなので、臭いがきついからといって心配することはありません。できるだけ陰部を清潔に保つように、赤ちゃんにも使えるデリケートゾーン用の石鹸で洗ったり、こまめに産褥パッドを取り換えるなどして臭い対策をしておきましょう。
ホルモンバランスの変化による膣内環境の悪化

産前・産後はホルモンバランスが著しく変化します。そのため、膣内環境が悪化しやすく感染症などにもかかりやすくなってしまいます。
膣内は自浄作用が働いていて、善玉菌と悪玉菌のバランスが保たれているのが正常な状態です。ホルモンバランスが乱れると、自浄作用も弱まって菌のバランスも乱れてしまいやすく、細菌性膣炎や膣カンジダなどの感染症にかかりやすくなります。
これらの感染症は、おりものの臭いが変化するのも特徴で、強い生臭いにおいが感じられます。
感染症とは言っても性交渉が主な感染源ではなく、女性なら誰でもかかる可能性のある感染症なので、陰部の臭いがきつく感じられるときは、検診の時などに確認してもらうようにしましょう。
臭いが続く場合はすそわきがの可能性も

悪露も落ち着き感染症も大丈夫だけど妊娠前には感じなかった臭いが続いている場合は、すそわきがが発症してしまった可能性もあります。
すそわきがは、アポクリン汗腺から分泌される汗が雑菌によって分解されることで臭いを発します。ホルモンバランスの変化が著しい出産を行う過程で、陰部周辺に集中しているアポクリン汗腺が活発化してしまい、アポクリン汗の分泌量が増えてすそわきがが臭い始めてしまうわけです。
妊娠前後で体質が変わってしまうという話はよく聞くと思います。食べ物の好みが変わったとか太りやすくなったとか。同じように汗腺の活動にも影響が出てしまうことがあり、産前には気になったことのないすそわきがが臭うようになることもあります。
アポクリン汗腺の量や太さは遺伝と関係していると言われているので、近親者にわきがの人がいなければ可能性は低いのですが、アポクリン汗腺自体は誰にでもありますし、発症する可能性もないわけではありません。セルフチェックで確かめてみましょう。
すそわきがを発症してしまった場合、根本から臭いを解消するには手術などが必要です。アポクリン汗腺を除去して汗の分泌を抑えて臭いの原因を絶つ方法です。
しかし、手術となると費用もかかりますし、傷などのリスクもあります。完全に臭わないようにするのは難しいですが、デイリーケアをしっかりしていけばすそわきがも気にならない程度に抑えることはできるので、上手にすそわきがと付き合ってくようにしてください。